ED原因と症状
EDの原因と症状
●EDとは、男性性機能障害のひとつである「勃起不全」のことで、勃起が十分でないために満足な性行為が行えない状態をさします。勃起は複雑なプロセスを経て成立します。その途中のどこかに問題がある場合に勃起がうまくいかなくなります。例えば、なんらかの不安、緊張、ストレスがある場合は、大脳で起こった性的な興奮が抑制されることもあります。また、膀胱がん、直腸がん、前立腺がん等、骨盤内手術の術後や糖尿病などが原因で、神経、血管に障害がある場合は、性的な興奮がきちんと伝わらない、血液が十分に海綿体に流れない、もしくは挿入できる硬さに勃起しない等、正常な勃起ができないケースもあります。さらに心と体の両面の原因が重なってEDになってしまうこともあります。まずは原因がどこにあるのかをしっかりと見極めましょう。
機能性ED
●「いざというときにダメになる」といった心因性のものです。セックスの経験不足や過去の失敗体験などから不安になり、緊張して勃起しない状態。仕事の疲労、ストレスなどでセックスする気にならない、性欲が湧かないなどの状態が続き、久しぶりにセックスをしようと思うと勃起しなくなっている状態。また、子作りのためにどこか義務的にセックスを求められていて、性的な興奮が沸かずに勃起しない場合などがあたります。
器質性ED
●糖尿病や高脂血症、高血圧によって海綿体の血管が影響を受けている場合や、それらの治療のために服用している薬の副作用がEDの原因になることもあり、高齢になるほどEDの危険因子が増えると言えます。又、加齢によるEDは男性として避けられない問題です。つまり、老化によって精巣からの男性ホルモンの分泌が低下すると、性欲の低下が起こるのです。また、男性ホルモンは一酸化窒素(NO)の合成に関与しているため、男性ホルモンの低下は勃起能力に影響を与えるのです。
混合性ED
●前述した機能性EDと器質性EDの混合型で、このタイプは比較的多く見られます。
EDと病気の関係
高血圧・高脂血症とED
●偏食や運動不足、ストレスの多い生活を続けていると、いわゆる高脂血症、高血圧などの発症の原因になります。簡単に考えれば、サラサラの血液よりもドロドロした血液は血管の内側を傷つけ、血管内腔を厚くすることで血液の通り道を狭くします。その分、心臓が血液を押し流すためには高い圧力が必要なのです。この状態が長期間続くことは動脈硬化を促進させ、血管に障害を起こす可能性があります。仮に陰茎海綿体の血管に障害が起きた場合、EDになるリスクがあります。
糖尿病とED
●糖尿病の合併症として、神経障害、網膜症、腎症が知られています。糖尿病は特に自覚症状が無いため、長期間にわたり高血糖状態にあることに気付かず、結果として毛細血管に変化が起き、様々な障害が出てくるのです。糖尿病によるEDは、陰茎海綿体の毛細血管と、勃起に関する自律神経系の障害が原因と考えられています。もしEDの原因疾患が糖尿病であれば、その治療を疎かにしないことが大切です。定期的に血液検査などで糖尿病のチェックをすることをお勧めします。
骨盤内臓器のがん手術とED
●前立腺がん、直腸がん、膀胱がんなど骨盤内臓器のがんの手術をする際、これまでは外科治療によるがん根治を優先させるため、性機能が犠牲になる傾向がありました。がん疾患の病巣部位やその進展具合によっては手術による性機能温存に限界があり、その結果としての性機能障害や、術後の治療に伴うストレスなどさまざまな要因が複雑に絡み合ってEDになるケースなどがあります。(ただし現在では病巣部位、年齢的要素を含め、術後患者の性機能に関するQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)の向上に考慮した神経温存術式の進歩により、術後であっても性生活が可能の場合もあります。まずは専門医に相談してみましょう。
EDと思ったら!
一人で悩まないのが大切なことです。悩まずに受診しましょう
●EDに悩む男性に「神経や精神的に異常があるのでは」との間違った考え方をする人が増えています。多くの方は、性生活が普通に行われることが当たり前のように考えているために、性機能が低下すると戸惑ってしまい、否定的な感情になりがちです。そのために、EDについて一人で悩み、パートナーや友人など誰かに相談出来ない男性が非常に多い状況です。しかし、ほとんどのEDは、蓄積された健康状態の悪化や何かのきっかけにより起こる、勃起に対する自信の無さが原因です。男性が始めて勃起に異常を感じた場合、なるべく気にしないように努力します。しかし、心の底では「精力が低下したのか?」、「彼女は気付いているだろうか?」などと心配をしてしまいます。そして、「自分は男として役割を果たせていない」、「人に知られたらどうしよう」などと最悪のシナリオを考えてしまいがちです。こうなると性交渉に対する不安から、失敗、不安、失敗が繰り返され、悪循環が始まります。このように一人で悩むこと自体が、EDをより悪化させてしまうと言っても過言ではありません。現在はインターネットなどで比較的安易に正しいEDの知識を得ることが出来ます。こうした方法や専門の医療機関に問い合わせるなどして、正しいEDの知識を得ることから始めて下さい。その上でパートナーや専門医に相談し、どうやって問題を解決するかを一緒に考えていくことが非常に大切なことです。